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Youtube再生数1億超えのアフロポップ!(Part.1)

いつもブログをお読み頂きありがとうございます。アオキシゲユキです。

私はMetal Butterflyのブランド運営をする傍ら、実は現代アフリカ音楽のキュレーターとしても活動していて、現代アフリカ音楽の中でも特に2015年以降のナイジェリアのアフロポップまたはアフロビーツを中心に掘っています。彼らの音楽は今世界的にも大きな注目を集めており、UKやUSのメジャーシーンのアーティストとも積極的にコラボしていて、その存在感は世界中に広がろうとしています。

そんなアフロポップ・アフロビーツの魅力にはまってしまったきっかけは、私がコンゴ共和国のオシャレ紳士サプール(SAPEUR)に会う為に1人でアフリカを旅した際、コンゴやエチオピアやタンザニアのクラブでDJがプレイしていた曲に興味を持ったからでした。日本のクラブでは流れないタイプの音楽に合わせて踊るアフリカの人たちを見るのは新鮮でしたし、彼らと一緒に踊るのはもっと新鮮ですごく楽しかったです。

エチオピアのアディスアベバにあるクラブ。怪しげな雰囲気だったのを今でも鮮明に思い出します。

その時フロアに流れていた曲がどんなアーティストの何という曲だったのかが分からなかったので、日本に帰ってからも時々アフリカ音楽について調べていたんですが、たまたまご縁があってTICAD7連携事業として昨年9月に開催された「国際盆踊り&アフリカ浴衣ランウェイ」というイベントのBGM選曲とDJを担当させて頂くこととなり、それを機に猛烈な勢いでアフロポップやアフロビーツを掘り下げていくようになりました。

 

そこで今回は「今どんなアフリカ音楽が世界で人気なのか?」をぜひ皆さんにも知って頂ければと思い、「Youtube再生数」をテーマにお話をさせて頂こうと思います。日本だと例えば米津玄師さんなど多くの人気アーティスト達が億越えの再生数を叩き出していますよね。だとしたらアフリカ音楽は一体どうなんだろうと思い調べてみたところ、いました。1億回を超えるアーティストが9人も!

というわけで今回は「Youtube再生数1億越えのアフロポップ!」と題し、Part.1とPart.2の2回に分けてお届けして参ります。ご紹介は再生回数の少ないものから順番に、そして記事の中の再生回数は2020年11月22日時点での数字となります。

Korede Bello "Do Like That"

1億869万回再生

 

1996年生まれのナイジェリアンシンガーKorede Belloは国民的ヒット曲「Godwin」で知られるアフロポップシンガーです。7歳から演奏を始めていた彼のステージネームはAfrican Prince。彼の初期の作品は現在のようなアフロポップ/アフロビーツではなく、どちらかと言えばギターポップに近い感じで、初期のジャケット写真には度々ギターが登場しています。彼の最大の特徴と言えばその歌声の美しさ。特に若い10台の頃の作品では、声だけでは男性か女性か分からないぐらい。最近のビジュアルを見るとだいぶ男臭さが出てきましたが、今年2020年3月にリリースされたシングル「Sun Momi」では、その美しい声質にピッタリなメロウネスを味わうことができます。「Sun Momi」は私個人的にKorede Belloの曲で一番好きなので、メロウがお好きな方にはぜひ一度聴いて頂きたい逸品です。

 

さて、「Do Like That」は2016年11月にビデオがリリースされ、今年2020年6月に再生数1億回を突破しました。この「Do Like That」にはなんと元デスチャの(という説明すら不要だとは思いますが)あのKelly Rowlandが参加したRemixがあり、こうしたコラボによる話題性も再生数が伸びた理由なのかも知れないですね。良かったらKellyバージョンも聴いてみてください。

Runtown "Mad Over You"

1億1418万回再生

 

続いてもナイジェリアからシンガー・ソングライター・そしてプロデューサーとしても活躍するRuntownをご紹介します。

RuntownはEnugu州出身で、2014年のデビュースタジオアルバム「Ghetto University」からカットされたファーストシングル「Gallardo」はナイジェリアの人気アーティストDavidoをフィーチャリングし、ナイジェリア・エンターテイメント・アワードの「ベストコラボレーション」を受賞。そして2016年にリリースされたこの「Mad Over You」は、ビルボードのツイッター・トップトラックチャート38位を獲得、そして翌年のガーナ・ミュージックアワードでは「最優秀アフリカ人アーティスト」を獲得しています。

リリース以降アフリカ諸国のチャートに登場するヒット曲となった「Mad Over You」ですが、遂に2020年1月に1億回再生を超えたとパルスナイジェリアの記事が伝えています。ミュージックビデオに登場する女性モデルのファッションがとにかくカッコイイので、そちらもぜひ注目して頂けると嬉しいです。また、パルスナイジェリアの記事の中では「Mad Over You」のメイキング映像も掲載されているので、ご興味ある方はそちらもチェック!

Yemi Alade "Johnny"

1億2470万回再生

 

Queen of Afropopと言えばYemi Alade。この「Johnny」は彼女のデビューアルバム「King of Queens」からのリードシングルとして2013年10月に、そしてミュージックビデオは2014年3月にリリースされました。この曲はナイジェリアだけでなくタンザニアやケニアなどのアフリカ各国、そして海を渡ったイギリスでもチャートインし国際的な大ヒット曲になりました。
Yemi AladeはナイジェリアのAbia州出身。2009年の「Peak Talent Show」に出場し優勝したことで一躍ナイジェリアで有名となりました。つい先日(2020/11/20)に発表されたばかりの最新作「Empress」を含めこれまでに5枚のアルバムをリリースし、「Youtubeチャンネル登録者数100万人を最初に突破したアフリカ人女性アーティスト」でもあります。また、アルバム「Mama Africa」リリースの際には収益の10%を貧困層の子供に対する食事・医療・教育を支援する団体「Feed a Child」に寄付するなど、社会貢献に対する意識も高くナイジェリア国内で絶大な人気を誇る女王です。今年2月にはベナン出身アーティストで現ユニセフ親善大使Angelique Kidjo(彼女は2020年1月に開催された第62回グラミー賞の受賞者)とのコラボシングル「Shekere」を発表し大きな話題を集めました。

Tekno "Pana"

1億4265万回再生

 

1992年生まれのナイジェリアンシンガーTekno。彼は8歳から音楽学校でギターとピアノを学び、2013年に人気アーティストDavidoをフィーチャリングゲストに招いた「Holiday」でデビューします。デビュー曲のゲストがDavidoって、レーベル側もだいぶ力の入った売り出しですね。ちなみに同じくナイジェリアのシンガーSpotlessTeknoの実の弟です。

2014年には「Nigeria Entertainment Awards」Best Pop Extra Videoを、そして2016年の「MTV Africa Music Awards」ではBest New Actを受賞。大躍進だった2016年にリリースされたのがこの「Pana」です。お辞儀から始まるMVでは薄暗い空間の中に謎の漢字が続々登場。衣装や動きからはカンフー的な要素も感じ取れます。この曲が米国コロンビアレコーズのA&R担当副社長の耳に止まったことで、Teknoはコロンビアとの販売契約を結び、「Pana」はアメリカでも再リリースされました。時期としてはちょうどWizkidDrakeの「One Dance」でフィーチャーされ世界的ヒットを生み出した頃。ナイジェリアンシンガーがアメリカ進出を果たす上での距離を確実に縮めた出来事だった、とbillboardの記事で紹介されていました。

ちなみにYotubeには「Pana」のYemi AladeのRemix versionがあったので参考までにリンクを貼っておきますね。

Burna Boy "On The Low"

1億6760万回再生

 

Wizkidと並びナイジェリアンシンガーの顔とも言える存在Burna Boyの「On The Low」が1億6000万回を超えてきました。Burna Boyと言えばSam SmithStormzyEd SheeranJ HusChris Martin(Coldplay)Jorja Smithなど主にUKアーティストとの共演が豊富ですが、最近ではあのヒップホップレジェンドNaughty By NatureNicki MinajSummer Walkerなどアメリカのアーティストともコラボレーションをしていて、その活動の幅を着実に広げています。

1991年生まれのBurna Boyはポートハーコート生まれ。彼の祖父ベンソン・イドニエはなんとあのフェラ・クティの最初のバンドマネージャーだったとのこと!凄いお祖父ちゃんの元に生まれたんですね。

彼はデビューアルバムからのリードシングルである「Like to Party」で人気を博しました。その他にも「Tonight」や「Hallelujah」「Dangote」「Anybody」など、低音が魅力の独特な声質とスペーシーで洗練されたトラックとの絶妙なバランスが彼の持ち味だと思います。ちなみに2014年リリースの「Tonight」ではまだ若くて髪も短くさっぱりとしたBurna Boyが白のジャケットに蝶ネクタイというダンディな衣装で歌う姿を観ることができます。

 

そしてBurna Boyはもう1曲「Ye」が1億1000万回を超えていました。

 

という訳で今回のPart.1では5人の「Youtube再生回数億越えアフロポップアーティスト」を紹介させて頂きました。もしこの中で皆さんが気になった曲やアーティストがいたら嬉しいです。そして次回Part.2では一体どんなアーティストが登場するのか、どうぞお楽しみに!

最後までブログをお読み頂きありがとうございました。Metal Butterflyプロデューサーでアフリカ音楽キュレーターのアオキシゲユキでした。